『トップガン マーヴェリック』(2022) |ネタバレ無し感想

解説・感想
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作品情報

制作年2022年
制作国アメリカ
監督ジョセフ・コシンスキー
出演トム・クルーズ
マイルズ・テラー
ジェニファー・コネリー
ジョン・ハム
ヴァル・キルマー
上映時間131分

ポッドキャスト配信中

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あらすじ

アメリカのエリート・パイロットチーム“トップガン”。
かつてない世界の危機を回避する、絶対不可能な【極秘ミッション】に直面していた。
ミッション達成のため、チームに加わったのは、トップガン史上最高のパイロットでありながら、常識破りな性格で組織から追いやられた“マーヴェリック”(トム・クルーズ)だった。
なぜ彼は、新世代トップガンとともにこのミッションに命を懸けるのか?
タイムリミットは、すぐそこに迫っていた——。

引用元:公式サイト

5月27日公開予定のトム・クルーズ主演最新作です。
彼の出世作であり、アメリカ国内のみならず日本でも社会現象を起こした1986年の名作『トップガン』から約35年後の続編です。

今回は本作が公開前だということで、基本的には公式の予告編や宣伝から得られる情報以外のネタバレは避けたうえで、(お金を貰っていないのに)この映画をひたすら宣伝していく記事になります。

(お金もらえたらどんな映画だろうと褒めて宣伝するんだけどな~👌)

本作を見に行こうか迷っている方、あるいは既に見に行くと決めている方も安心して期待を膨らますことができる内容になっているかと思いますので、ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

TOHOシネマズ IMAX試写会の様子

ダメ元で抽選に応募したところなんと当選してしまいましたので、TOHOシネマズでの一般向け『トップガン マーヴェリック』IMAX試写会に行かせていただきました。

当日は全国のTOHOシネマズのうち9会場で行われたそうですが、私は「TOHOシネマズ日比谷」に行ってきましたので、簡単に当日の雰囲気を紹介します。

an exhibit of top gun maverick

日本に一個だけしかないというマーヴェリックの巨大ヘルメット。(お、おう…)
ヘルメットの中のフェニックスも「どうだか」と言っています。

tom cruise on the screen at the preview

IMAXシアターでの試写ということで当然ですが、TOHOシネマズ日比谷スクリーン4で鑑賞しました。
座席はほぼ満席で、一作目をリアルタイムの劇場で見たという方々もかなりいらっしゃいました。

各自の座席は事務局により事前に割り当てられていたのですが、私の席はなんとB列。
A列はメディア関係の取材陣用だったので実質最前列です。

ライブやコンサートだったらこの上ないラッキーなのですが、IMAXスクリーンでの映画鑑賞となるとなかなか首がきつかった…
映画のエンディングあたりで一人静かに首筋を攣っていました。痛かったです。

ただこんな位置の座席は自分ではまず指定しないので、ある意味貴重な経験でした。
首は痛めちゃうけど、迫力は後ろの席より増していたと思います。

写真は開場時にお出迎えしてくれた巨大トム・クルーズの図。

the guests of top gun maverick preview

上映前のトークイベントでは、ゲストで平成ノブシコブシの吉村崇さん(コンビの出囃子に「Danger Zone」を使用しているから)、2022年北京オリンピックの個人ノーマルヒル金メダリストの小林陵侑選手(「飛ぶ」仕事をしているから)が登場しました。

お二人とも生で見るのは初めてでした。
吉村さんは、テレビで見るよりカッコいいなとか、背が高いなとか、声量すごいなとかそういうものは一切なく、ちょうどぴったりテレビで見るイメージまんまでした。(ディスっているわけではない本当に)

小林選手は髪型とスーツがキマり過ぎてて一瞬誰だかわかりませんでしたが、良い意味で普通のお兄ちゃんって感じでした。

ちなみに小林選手が金メダル獲得のジャンプをした時「これはいったかも」と感じた瞬間は、ジャンプ台から飛び出して宙に浮いたあたりのタイミングだったそうです。

そんなこんなで『トップガン マーヴェリック』の上映がスタートしました。

『トップガン』(1986)とは何だったのか

©Paramount Pictures

そもそも約35年ぶりに続編が作られるなんてことになった『トップガン』とは何だったのか。

ぶっちゃけ内容覚えてなくない?

映画史に残る名作として名高い『トップガン』ですが皆さん、この映画の内容って覚えてますか?

私は覚えていませんでした!👍

トップガン』と『フラッシュダンス』(1983)に関しては「何度見てもストーリーが頭に入ってこない」というのは映画ライターの高橋ヨシキさんの発言ですが、まさにそう思います。
『フラッシュダンス』のストーリーも全く思い出せませんね。

ここに関しては、リアルタイムで鑑賞した人よりもこの映画の公開時にはまだ生まれていないような世代の方々の方が感じられるかと思いますが、この映画にはほとんど中身がありません。

今見ると、「男性陣がみんな顔や体がビショビショ」だったり、「実はティム・ロビンスが出ている」だったり「アメリカ海軍の宣伝映画」っぷりがなかなか楽しめる映画ですが、ストーリーに関する印象は驚くほど薄いです。

©Paramount Pictures

ではなぜこの映画がそんなに名作扱いなのかといえば、それはもちろん内容が素晴らしかったというよりも、もっと外側の部分が重要だったということです。

大事なのは中身じゃねえ!

この映画が歴史的に最も重要な点としては「当時の社会や文化に大きな影響を与えた」ことや「トム・クルーズの出世作」だということでしょう。

この映画が公開された1986年以降、アメリカでは海軍への入隊希望者が激増、レイバンのアビエイターサングラスがバカ売れ、フライトジャケットが大流行するなど、アメリカ国内の社会的影響はもちろんのこと、日本でもMA-1やアメカジといったスタイルがファッションの定番の一つとして定着することになりました。
公開当時に10~20代くらいの世代の方々であれば、ピースの綾部祐二さんのように(吉村さん談)この映画のトム・クルーズからモロに影響を受けた方も少なくないでしょう。

また、映画史的に重要なのは「トム・クルーズの出世作」であるということです。
当時まだ芽が出きっていない若手俳優だったトム・クルーズは、この映画の出演を皮切りに一躍スターへの階段を駆け上がりました。
彼が59歳の大ベテランとなった今もなおハリウッドの最前線で活躍する大スターとなったのは、この映画があったからということです。

トム・クルーズ自身もこの映画には公開当時から相当思い入れは強かったようで、公開直後から続編製作の企画が立った(という報道がある)ものの、続編製作によって一作目の価値が下がることを嫌ったトム・クルーズは、自ら映画化権を買い取るという形で続編制作を阻止し、以降2010年まで続編が計画されることはありませんでした。

本作の主演かつプロデューサーの一人も務めたトム・クルーズは、「続編を作るなら自分が納得できるストーリーでないと」「そして映像や撮影技術の進歩も必要だった」と語っています。

「1980年代」と「俳優トム・クルーズ」を代表した映画である『トップガン』に対して、このような思いを乗せ、続編としてついにこの2022年に実現したのが『トップガン マーヴェリック』です。

約35年間温めた続編やいかに

©Paramount Pictures

本作を監督したのは『トロン:レガシー』(2010)、『オブリビオン』(2013)で知られるジョセフ・コシンスキー監督です。
トム・クルーズとは『オブリビオン』で一緒に仕事をしています。

「トロンとオブリビオンの監督かあ~」と思って本作を心配されている方々。
ちょっと待ってください。

同監督の『オンリー・ザ・ブレイブ』(2017)なんかはかなり良い映画ですよ!
しかも本作の次に控えているのは、クリス・ヘムズワース主演の『Spiderhead(原題)』(2022)であるということで、トロンやオブリビオンの監督ではなく「これらの映画を撮っている監督の映画」として構えていただければ幸いです。

ちなみに『オンリー・ザ・ブレイブ』には本作にも登場するマイルズ・テラージェニファー・コネリージェイク・ピッキングが出演しています。

『トップガン』ファンにはたまらないはず!

©Paramount Pictures

まずは、一作目の『トップガン』に思い入れが強いファンの方。

安心してください。この続編、大丈夫です。

ストーリーは前作からの設定変更や改変は無く、完全に一作目の続きとなっています。
一作目の続きで全く新しいストーリーを映画いているにもかかわらず、演出としては一作目の名シーンを振り返る形になっています。

「続編を作るなら自分が納得いくものでないと」と語っているトム・クルーズが作った続編なだけあって、ファンが「ああいうのが見たいな~」と考えるであろう要素はほぼ完全に網羅していると思います。

一作目を彷彿とさせる展開、セルフオマージュ的なシーン、さらには具体的に一作目を振り返るシーンがたくさん用意されています。
予告編に登場しているシーンで言うと、若い健康な男性が(今回は女性も)汗だくでビーチでスポーツをするシーンが用意されています。
一作目に倣ってしっかりジーンズを着用して汗だくになっています。たまりませんね。

このようなシーンや演出が本編ではたくさん用意されています。
そして何より重要なのは、それらは単に過去作を再現するだけの描写には留まっておらず、それらを用いながらちゃんと新しいストーリーを紡いでいるうえに、過去作の再現を行うからこそ、前作に対する主人公マーヴェリックの内面的な変化が描かれるというような、非常に正しい形でオマージュが行われているという点です。

この辺りに関しては、『トップガン』ファンの方々には大いに期待していただいて問題ない部分かと思います。

また、一部前作から続投しているキャストもちゃんと存在しています。
本作はこのキャスティングもなかなか上手くやっており、前作のキャラクターや俳優をそのまま登場させるだけで喜ぶのではなく、前作とは別のキャラクターや俳優を登場させ、彼らに前作キャラたちの面影を投影するという形をとっています。
そのため、残念な続編やリブートにありがちな「同窓会映画」に陥いることなく、しかし全体としては前作の空気感を色濃く出すということに成功しています。

最後に、一部気になっている方がいるかもしれないのでこちらも言及しておきます。
予告編に関して、「なんか重要なポジションっぽいけどこのジェニファー・コネリーは誰?」問題です。
具体的に誰かは記しませんが、これは鑑賞前に知っていても問題ない情報だと思うので、最低限の情報だけ記しておきます。

彼女は前作から登場しているキャラクターです。ただしセリフ上での一瞬の登場のみです。

本作を鑑賞する前に前作を見返す際は、少しこちらを意識して見ていただくといいかと思います。

なんと『トップガン』をよく知らなくても大丈夫!

©Paramount Pictures

ここまで読んでいただいて、むしろ不安になってしった方もいると思います。

そんなに前作リスペクトに溢れているなんて「オジサン向けの懐古映画なのではないか」と。

確かについ先日そんな映画がありました。
ゴーストバスターズ/アフターライフ』です。

こちらの映画では、今の世代向けに新しいゴーストバスターズを提示しているように見せかけて、徹底的に80年代カルチャーを懐かしみ、クライマックスで同窓会を開催するというまさに「オジサン向けの懐古映画」に終始していました。

しかしここに関しても安心してください。
本作はもはや前作を見ていなくてもバッチリ楽しめます

アクションや撮影に関しては完全に最新の映画として成立しています。
マーヴェリックたちが挑むミッションは前作から遥かにレベルアップし、単なる敵機とのドッグファイトだけではない、完全にインポッシブルなミッションになっています。

トム・クルーズはもちろん、その他主要キャラについても俳優たちが実際に戦闘機を操縦しての撮影を行っており、カメラの小型化のおかげでコックピット内の撮影もバリエーションが増しています。
ワイルド・スピード』(2001)シリーズや『フォードvsフェラーリ(2019)などにおける「ギアシフト」描写のような、キレのある操縦シーンがとってもカッコいいです。

そして見どころの航空アクションについても前作から明らかにパワーアップしており、前作を見ていない方がむしろ「戦闘機ってそんな動きできんの?!」と驚くに違いありません。

「でもトップガンってドラマが薄いからな…」と思われている方も安心してください。
もちろんドラマ性に関しても遥かにレベルアップしています。

一作目において最もエモーショナルな要素であった「グースの死」を中心にマーヴェリックの成長が描かれます。
このドラマ性を深める要素として、既に予告編にも登場しているマイルズ・テラーがグースの息子としてマーヴェリックの前に現れます。

この因縁に関しては、さすがに前作を見ていた方が感情移入は容易ですが、前作を知らずとも、感動的な写真の数々や前作の振り返りがちょうどよく入っているので、問題なく入り込むことができます。

これは先ほどの繰り返しになりますが、前作を見ていない方々向けに再度述べておきます。
本作には過去作からの続投キャラがいますが、それは最重要人物たちだけであり、基本的には新キャラクターたちに過去作キャラを投影する形をとっているため、初見勢は新キャラをそういうものとして見ることができ、前作ファン勢は過去作を思い出しながら本作を楽しむことができるため、初見勢を置き去りにするようなことはしていません。

本作は『トップガン』を知っている人も知らない人も、それぞれ本作単体で楽しむことができます。

「THE ハリウッド映画」って感じ

©Paramount Pictures

本作は80年代を代表するような作品の続編ということもあり、最新映画でありながら「あの時代の映画」も思い出す雰囲気の映画になっています。

本作はまさに「THE ハリウッド映画」といった印象で、画作りを前作に寄せているからというだけでなく、ストーリー展開なども往年のハリウッド大作映画を思い出す雰囲気です。

本作の脚本としてクレジットされている三名のうちの一人は、「ローグ・ネイション」以降の『ミッション:インポッシブル』シリーズや、古くは『ユージュアル・サスペクツ』(1995)の脚本を手掛けたクリストファー・マッカリーです。

特に人間や世界の本質をえぐり出すようなドラマではありませんが、「ド派手なアクション」「サスペンス」「ロマンス」「親子」「友情」といった要素を全部ぶち込んで、「大味だがストレートに感情に訴えてくる」映画になっているあたりが、非常にハリウッド映画的ではないでしょうか。

また、本作の音楽を担当しているのはみんな大好きハンス・ジマーです。
DUNE/デューン 砂の惑星』(2020)では、やかましいほどの重低音を炸裂させ、無事アカデミー作曲賞を受賞しました。
今回のハンス・ジマーは、20世紀頃の雰囲気の中にもしっかり最近の重低音路線も取り入れた、非常に良い塩梅の音楽だったと思います。

トム・クルーズも近年稀に見るほどの「満面のスマイル」を見せてくれます。
(イーサン・ハントじゃここまではニコニコしないもんね)

まあ要するに一言でまとめれば、「こういうのでいいんだよ」ってことです。

最近はマイケル・ベイが「こういうのでいいんだよ」映画である『アンビュランス』(2022)を世に出してくれましたが、トム・クルーズもやってくれました。

この先MCUのマルチバースについていけなくなっても、あなた達の作品にはついていきたいです。ありがとう。

ジェットエンジンの大轟音も!

©IMAX

最後に余談ですが、本作をIMAXで鑑賞すれば、IMAXシアターに行く度に見せられるからそろそろセリフを暗誦できるんじゃないかでおなじみ「あのイントロ映像」内の「ジェットエンジンの大轟音も!」を実際に体感することができます。

「澄み切ったクリアな映像」「鮮やかな色合い」「息を飲む臨場感」「映像の世界に入り込んだ感覚」は大体経験していると思うので、残すところは「針が落ちる小さな音」ですね!

おわりに

いかがでしたでしょうか。

一応ネタバレを最小限にするため、ほとんど具体的な話をしない内容になってしまいましたが、本作への期待を膨らませていただけましたでしょうか。

アメコミ映画全盛期である昨今、ここまで実写撮影にこだわり、しかも単体で最高に楽しめる作品なので、ぜひ映画館で、それもIMAX等で見ていただくのが一番だと思います。

あ、あとトム・クルーズ主演の映画となるとほぼ100%あの方が字幕担当になる件ですが、今回字幕監修の方(名前は失念しましたが確か元航空自衛隊?の方)がついているのでそこもご安心ください!

おわり

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